北海道にあるワインの町
このごろ「十勝ワイン」というのが人気を呼んでいますね。
前に札幌旅行をしたときにこのワインを飲んで、その美味しさにはたまげたものです。
このワインの生産地は、池田という小さな町。
昔は凋寒などといった寒々とした寒村で、国鉄根室本線から北見に通ずる、池狙線の分岐点としてしか知られていないところでした。
この町に、行政については全くの素人で、大学では哲学を専攻したという町長がかつぎだされました。
何から手をつけてよいか見当がつかないので、村の子供たちに本州の子供並みに、何か実のなる果樹を与えてやりたいと思い、山葡萄が稔るのだから葡萄が育つだろうという考えから、ついでに山葡萄で葡萄酒をつくろうとして町営の葡萄酒研究所というのをつくりました。
そして、製品をヨーロッパのワインコンクールに出品してみたところ、思いがけず銅賞を受け、翌年も出すとこんどは銀賞をもらい、出品した方がびっくりする結果になったのです。
ところが学者たちはこれをインチキときめつけました。
昔から日本の山葡萄からは、ワインができないというのが学界の定説だったからです。
もちろん生産者の方でもそれに反論する何物もないので、ワインの専門家について調査をしてもらったところ、どうもこの辺で原料にする山葡萄は日本本来のものとちがい、大陸のアムール河畔にあって、付近の原住民がワインをつくっていたものに似ているというのです。
そこで現物をシベリアに持って行って調べたところ、まさしくアムール河畔にある大陸系のアムレンシス種であることが判明。
かつて北海道が大陸の一部であったとき、ヒグマやシベリア狼、シマリスなどの野獣ばかりでなく、山葡萄やハシドイ、シラカバなどの樹木もまた大陸につながっていたのであることが知られました。